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受信機のハード

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これまでの検討を基にまとめるとこんな感じになります。
イメージ 1
HFの信号は周波数が低いと利得が大きくなるアンプで感度補正をし、その後高い周波数の妨害波を除去するローパスフィルタを通します。
アンプの電源はドングルに来ている5Vから取ります。
AISとNOAAの信号は別々のアンテナから来るので、スイッチで切り替えた後、低い周波数の妨害波を除去するハイパスフィルタを通します。
VHFとHFはスイッチで選択してからドングル(Tuner)へ渡します。

実際の内部はこんな感じ
イメージ 2
写真はHFのアンプ取り付け前。
アルミのチャンネルを加工して、ケースにしています。
ケースはシールドと放熱を兼ねています。

アンテナのコネクタは3種の異なる形にして誤接続を防ぎます。
USBケーブルを引っ張ってドングルが壊れないよう、根元をしっかり固定しました。
ドングルのアンテナコネクタを使うスペースが無かったので、細い同軸をハンダ付けしてアンテナ線を引き出しました。USBの+5Vも引き出します。(写真、ミドリ線)
それぞれのアンテナの切替には、普通のトグルスイッチを使っていますが、VHFでも30dB以上のアイソレーションを確保しています。

イメージ 3

ドングルは放熱が悪いという評判なので、2つのICの底に銅版をハンダ付けして放熱。銅板はケースに密着させて熱を逃がします。
これで高温での動作安定と周波数変動の減少を期待します。


気象FAX受信 KG-FAX 

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気象FAXの受信にはSDRsharp(HFパッチ当てたもの)とKG-FAXというフリーソフトを使います。(KG-FAXに感謝です。)
SDRsharpは気象FAXの電波をオーディオ信号に変換します。KG-FAXはこれをデコードして画面に表示するためのものです。
オーディオ出力(イヤフォン端子)とオーディオ入力(マイク端子)をケーブルで接続しておきます。(仮想ケーブルで接続する方法もあります)

SDRsharpの設定
1) 周波数を公称値 モードはUSB
2) SHIFTにチェックし1900入力
3) バンド幅2700Hz
受信できるとピーとかピロピロ音が聞こえます。

KGFAX
起動し 、掃引をクリック それだけです。

画面の出力は結構ゆっくりなので、あわてないでKG-FAXの使用法など読みながら待ってください。
うまくいかない場合はオーディオレベルを調整してみます。
ドングルの周波数のずれが小さいことも重要です。(別途)
イメージ 1
うまくいくとこんなふうに受信できます。
受信テストにお勧めは
JMH(日本気象FAX:回転速度120rpm,同期信号長20msec)、7.7931MHz USB

HF(短波)は電離層の反射で伝播する電波なので常時受信できるとは限りません。
適切な周波数、時期の選択が必要です。
受信には5m程度の長さのアンテナ(ロングワイヤ)も必要になります。

気象衛星 NOAAの受信

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いきなりですがこんなふうに受信できます。NOAA-19
衛星が日本の上空を通過したときの写真で、日本列島がはっきり写ってます。
イメージ 1
気象衛星NOAAは現在15,18,19号の3機が稼働中で、それぞれ昼間に2-3回上空を通過してリアルタイムで写真を送ってきます。(夜も2-3回来ます)

ソフトはSDRsharpとKG-APT(フリー)を使わせていただきます。
オーディオ出力(イヤフォン端子)とオーディオ入力(マイク端子)をケーブルで接続しておきます。(仮想ケーブルで接続する方法もあります)

SDRsharpの設定
最初に画面左上にある歯車マークをクリックして
Sample Rate1.4Msps(PC能力に依存)、
Sampring Mode:Quadrature Sampring(デフォルト)
Offset Tuning、RTL AGC,Tuner AGC すべてチェックなし
RF GAIN:49.6dB(最大)
Frequency correction 周波数ずれ最小に設定(別途)
とします。FaxやAISとも共通です。

RadioでWFMを選び、Bandwidth:40000(40kHz)とします。
受信周波数は飛来する衛星のどれかに設定。
NOAA 15 – 137.6200 MHz
NOAA 18 – 137.9125 MHz
NOAA 19 – 137.1000 MHz

KG-APTの設定
インストール方法等はKG-APTのreadme.txtに詳しいのでこちらを参考にしてください。起動すると衛星軌道の画面が現れます。
軌道設定をクリックし自分の位置を入力します。
インターネットに接続した状態で軌道要素を更新します。これで衛星軌道は自動的に計算されます。衛星軌道画面で次に来る衛星が画面下に表示されるのでSDRsharpの周波数を設定し、自動受信をクリックしておきます。

まだ衛星が来ない状態では雑音しか受信されませんが、この状態で入力設定をクリックして信号利得を調整して雑音レベルが緑色付近になるよう大雑把にレベルあわせをします。衛星が受信できたらさらに調整して濃淡がちょうど良くなるようにします。
うまく衛星が受信できれば画像が自動的に保管されます。

FAXの場合と同じように、音を聞いて感じをつかんでおくことをお勧めします。

きれいな画像を取得するにはアンテナが重要です。
お勧めはquadrifilar helicoidal antenna(QFHアンテナ)
設計パラメータはここ。
http://www.jcoppens.com/ant/qfh/calc.en.php
私は水平方向の利得を気持ち上げたかったので
Width/height ratio =0.4で試作しました。このほうが形状もスリムです。
材料はグラスファイバの釣竿と園芸用のアルミ線(径5mm)
床屋のねじり棒みたいな格好ですが、ねじる向きを間違えるとまったく受信できませんから注意。
本当はきれいに正弦波状に整形するのでしょうが、直線的に折り曲げても大丈夫みたいです。
短波と異なり、途中にさえぎるものが無ければ(普通は無い)安定して受信できます。VHF帯なので雨の影響も受けません。
イメージ 2
ちょっと傾いてますが、受信できてます。
北側には建物があって、受信が阻害されます。海上では全方位大丈夫です。
作るのが面倒なら市販もされています。QFH137で検索してください。

感度を上げるためにLNA(ローノイズアンプ)をつけるか悩みましたが、結果は無しに。
5mのアンテナフィーダ(1dBロス)を含めてNFは5dB程度と思われます。直下型LNAでこれを1dB程度まで下げられるので最大4dB程度の感度改善が図れますが、
・無くてもきれいに受信できる。付けても低仰角部分のわずかな改善と思われる。
・隣接電波からの干渉に弱くなる。
・雷サージ等でLNA(弱い)が壊れるとお手上げ。
などから、丈夫で長持ちを選択しました。


AISの受信

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AISとは 以下、海上保安庁HPより
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● AIS(Automatic Identification System)  船舶自動識別装置とは
 AISは、船舶の識別符号、種類、位置、針路、速力、航行状態及びその他の安全に関する情報を自動的にVHF帯電波で送受信し、船舶局相互間及び船舶局と陸上局の航行援助施設等との間で情報の交換を行うシステムです。
 -----------------
GPSが発達したおかげで、自船の位置を正確に知ることができるようになりました。
この位置情報などを近くにいる船で教え合えば、他船の状況が明らかになり海上での衝突を未然に防ぐことができます。
大きな船ではAISの搭載が義務付けられていますが、小さな船にはこの義務はありません。
小さなヨットでもAISを受信して他船の位置を知り、GPSで自船位置を知れば近くにどんな船がどの方向、距離にいるかがわかりますから航海の安全度は高くなります。

AISの場合、信号の受信、デコードにAISDeco2、海図や他船表示にOpenCPNというソフト(どちらもフリー)を使います。
これは、
気象FAXとNOAAの場合がサウンド信号に復調してから表示ソフトのデコード機能を使ったのと方式がちょっと異なります。同様な方式のソフトにKG-AISというのがあるのですが、現在は入手できない(試用版のみ可)なのと海図が日本近海しかないのであきらめます。

AISDeco2とOpenCPNのインストール、設定はここに詳しいです。
RTL-SDR Tutorial: Cheap AIS Ship Tracking
ここのリンクからAISDeco2とOpenCPNをDL,インストールしてください。

AISDeco2はDOS窓のコマンドラインで動く、一見素朴なソフトですがすごい能力を持っています。
・Tuner(ドングル)の周波数設定
・AIS 2波の同時受信
・デコードした文字列のプロッターへのUDP出力

AISDeco2.batに利得、周波数オフセットを記載して再saveします。 49.6dB、2ppm,
----------------
@echo off
cmd /c  aisdeco2.exe --gain 49.6 --freq-correction 2 --freq 161975000 --freq 162025000 --net 30007 --udp 127.0.0.1:4159
PAUSE
exit
----------------
AISDeco2.batをでクリックして実行すると、地味なDOS窓が現れれば成功です。
イメージ 1
 注意点としてSDRsharpを起動しておくとドングルが使われているため動作しません。
また周波数オフセット0(ずれ無し)は想定していないようで設定すると立ち上がりませんでした。
立ち上がった状態でAISが受信されると、船の情報(文字)が次々と表示されていきます。
イメージ 4
この情報がOpenCPNに表示されます。

OpenCPNを動かす。
OpenCPNは機能てんこ盛りの海図ソフトで
・海図の表示
・他船位置表示(AIS併用)
・自船位置の表示(GPS外付け)
・接近警報
・などなど
とても奥が深いようです。
フリーのソフトで魅力的ですが英語なのと、日本近海の海図の入手が難しそうです。アメリカ沿岸地図はWebからDLできます。
またGoogleMapとの連携もできるようです。(未確認)
多くのプラグイン(追加ソフト)があって機能を増やせます。

とりあえず起動してAIS情報をプロットさせるだけならそう難しくありません。
インストールして実行すると、難なく地図が出てきます。
レンチのツールをクリックして設定を行います。

イメージ 2

Network,UDPを選び、Addres,DataportをAISdeco2にあわせれば設定終了。
AIS情報を発信している船が地図上に表示されます。
日本の船は陸地も走る??

イメージ 5

近接警報も知らせてくれます。赤い船は近いぞ!!
イメージ 6

レーダープラグインで監視
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AIS受信のアンテナ
気象衛星が頭上に見えるのに対して、船は水平線上にいますからアンテナも水平方向の電波を拾いやすいものが適します。
ヨットにはVHF無線用のアンテナがついているので、これを切り替えて使えば良いです。実験にはハム用の144MHzGP(ホイップ)のエレメントを少し短くして162MHzで使えるよう改造しました。(写真取り忘れ)

GPSの設定
USBタイプの
”SiRFstarIII GPSチップ 内蔵 アンテナ 一体型 GPS 受信機 BU-353S4 GPS レシーバー (GlobalSat IC使用)”

イメージ 3

をAmazonで買って接続しました。
注意するのは設定したUSBコネクタ以外では認識されないこと。複数のUSBコネクタのうち使用する位置を決めておく必要があります。

このBU-353というのはメジャーなインターフェースらしく、OpenCPNのUserManual 
GPS Setupの章をそのままトレースすることで使用可能になりました。
ポイントは、
・デバイスドライバのインストール 付属CDからでは無くネットから最新版DL
・COMポート 4800bps、8bit、NoParityに設定
・OpenCPN側にconnection SerialとCOMportを追加

このGPS受信機、感度が良くて室内でもOpenCPNの赤い船マークをクリックすると自分の位置が地図上に表示されました。



周波数を合わせる

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私が入手したドングル(Tuner)の周波数は+50ppmくらいずれているものが多かったです。

どれくらいの周波数ずれが許されるでしょうか?ざっと考えると
AIS 12.5KHz幅FMなので1kHz/162MHz=6ppm
NOAA 40kHz幅FMなので2kHz/137MHz=14ppm
FAX 2700Hz幅SSBなので100Hz/10MHz=10ppm
位なら良いかなと。
AISがもっとも厳しいですが周波数ずれを+-6ppm程度に維持すれば良さそう。
50ppmずれると受信できない可能性大です。

周波数の正確な信号発生器があれば、これを受信して周波数を合わせることができます。普通は無いですよね。
良い方法は無いでしょうか?あります。地デジを使います。
地デジの電波は狭いキャリアをたくさん並べるという方式上、周波数の許容誤差が厳しく定められていて周波数のずれは1Hz以下となっています。
これは0.002ppmというとっても良い値。
また全国で受信できますから、基準信号としてはもってこいです。
ただ問題があります。地デジとして公表されている周波数を受信してもボワーっとした電波が受かるだけで基準としては使えません。
結論から言うと、バンドの上端にあるパイロット信号が使えそうです。
イメージ 1
SDRsharpでスカイタワーから送信されている26CH(NHK Eテレ)の上端を受信したもの。400kHz程度上から27CH(NHK第1)が始まっています。

上端にはパイロット信号があって、拡大すると下のようになります。
無変調か低速の変調がかかっていますが、帯域の広がりは小さく基準になります。
イメージ 2
拡大したあとに補正量を1ppmずつ変えたものです。ウォーターフォールの刻みが1ppmになります。

電源を入れてから10分ほどウォーミングアップした後、
地デジの上端パイロットを受信してこれが画面センターに来るようFrequency Compensation(ppm)の値を調整すれば終わりです。
SDRsharpではこの設定を最初に行っておきます。AIS受信のAISDeco2ではAISDeco2.batにこの値を反映しておきます。

地デジの上端パイロット信号は公称周波数+39/14MHz(+2.785714MHz)のようです。受かった一例を示します。地デジ周波数の詳細はネットで検索できます。


CH
上端パイロット(MHz)
13
475.928571
19
511.928571
26
553.928571
33
595.928571
36
613.928571
37
619.928571
45
667.928571
地デジは6MHz毎に配置されているので、下位を.928571 MHzにセットして475MHzから上を1MHzステップで探していけばすぐに見つかると思います。

ドングルの周波数安定度
3個のドングルの安定度を調べてみました。
3個は
・ずれが10ppm以下の発振器使用品
・ノーマル品
・ノーマル品に周波数補正改造をしたもの

 
アオ10ppm
ノーマル無改造
ノーマル周波数補正
初期ずれ(ppm)
3
50
-2
変動/20(ppm)
7.3
5.5
5.5
温度試験は、ドングルをホットプレートに載せ20℃程度温度が上がったところで周波数ずれを補正した量を記録。温度変化は20℃あたりに補正してあります。
温度特性はどれも高温で周波数が上がる方向でした。

意外だったのはノーマル品の安定度が10ppm品より良かったこと。
コンデンサを追加した補正品も安定度は改造前と同じでした。
結論はノーマル品を周波数補正して使えば十分。
通常の温度範囲(5-35℃くらい)ではAIS受信でも問題なさそうです。
一番安い クロドングル、ノーマル品が感度、安定度に優れてる?

凝り性の人には改造を勧めます。コンデンサを付けるだけでずれを少なくできます。
イメージ 3
+50ppmの補正量に対して15-18pFのジキコンを付けるとずれを小さくできます。
安定度は変わらないようです。周波数が上にずれている(補正量が+)のときだけ有効です。




オーディオの接続

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SDRsharpの受信出力はオーディオ信号(音)です。これをKG-FAXやKG-APTに入力して画にするわけです。
このためオーディオ出力をオーディオ入力につないでやる必要があります。

判りやすい方法は、ケーブルでオーディオ出力(イヤフォン端子)とオーディオ入力(マイク端子)をつないでやる方法。

もうひとつは、仮想的にPC内でオーディオ出力とオーディオ入力をつなぐ方法です。
これだとケーブルは不要です。
この場合VBcableというフリーソフトがお勧めです。
インストール後にコントロールパネルのサウンド設定で再生にCABLE Input,録音にCABLE Outputを設定します。アイコンが見えないときは右クリックで切断されているデバイスの表示にチェックを入れます。

私の場合、わざわざケーブルでつなぐ方法を採っています。
”マルチメディアスピーカ USB電源タイプ” をPCにつなぎ、オーディオ出力(イヤフォン端子)を分岐してオーディオ入力(マイク端子)に入力しています。

イメージ 1
このやり方のメリットは、信号を音で確認できること、音量を信号レベルに影響せずに変えられることです。
FAXやNOAA受信では意外に音が役に立ちます。うるさければ付属のボリュームで絞れます。PC側で絞ると信号のデコードに影響するのでいろいろ面倒です。
受信が安定してできるようになったらVBcableでも良いかもしれません。

どちらの方法にしても一度オーディオレベルを設定したら、あとは変えないようにします。変えると画面の濃淡とか同期はずれとかデコード品質に影響します。

AIS受信でAISdeco2を使う場合は信号がオーディオを経由しないのでオーディオの接続は不要です。音も聞こえません(ちょっと寂しい)。

PSK31送信機を作ってみた

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SDR用ドングル(Tuner)で遊んでみて、その性能の高さに驚いた。
PSK31というアマチュア無線用のデジタル方式を受信してみると受信フィルタが昔のアマチュア無線機ではとても実現できない狭帯域をあっさり実現。CWの1/10くらいの帯域(31Hz)しか使わないのでものすごく低いレベルの信号が受信できる。
で、ドングルに見合う送信機を作りたくなって作ってみました。
イメージ 1

イメージ 2



主な部品はゲートIC 1個 OP-AMP IC 1個 MOS FET2個とシンプル。
7MHz用で5V電源で2Wの出力が得られます。

PSK31送信機を作ってみた 2

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一般にPSK31の電波を出すには、低い周波数(音声帯域)でPSK波をつくり、これを周波数変換して希望の周波数にします。周波数変換機としてはSSBの送信機を使います。
1.6KHzで作ったPSK波をSSB送信機のマイク端子に入力するわけです。
すでにトランシーバを持っている人にはこれがもっとも簡単な方法です。
ですが、大きさ、消費電力、無線機コストは結構大きなものになります。

PSK31用ソフトはPC内部で変調データを作り、これとキャリアを演算して音声帯域の送信波を作り出しているので、この内部変調データ(ベースバンド)を取り出せれば簡単な送信機が作れそうと考えました。
PSK31のコア部分は公開されているので、知識があれば内部変調データを取り出せそうですが。
何とかできないかあれこれ考えているうちに、鮎のシーズンが始まり中断。
。。。。。。。。。
鮎のシーズンも終わり、PSK31情報を求めてググっているうちに見つけました。
IW3IPD 20m PSK31 QRP transmitter
http://digilander.libero.it/rvise/qrp_20m_tx/qrp_20m_transmitter.htm
このOMのえらいのはコアのソフトに手を入れて、変調データの0と1をPCのサウンド出力のR,Lにそれぞれ出力するようにしたこと。
ただサウンドカードは直流分を出力できないので16kHzのキャリアをベースバンド信号で振幅変調して出力しています。
なのでサウンド出力を検波(整流)すればベースバンド信号が取り出せます。
OMは検波して再生したベースバンド信号をバラモジに加え、低レベルのPSK波を生成した後にリニアアンプで増幅する方法を取っています。
構成はシンプル。変調の精度はバラモジで、波形歪み(スペクトラムの広がり)はリニアアンプの良し悪しで決まります。

上記ドライバをインストールしてサウンド出力したもの。
再生したデータが一番下。
イメージ 1



PSK31送信機を作ってみた 3

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・位相変調器はXORゲート
PSK31のBPSK波はデータの0と1とでキャリアの位相を反転(180度変える)します。
一般的には平衡変調器(Balanced Modulator BM)を使いますがこれと同じことがXORゲートで実現できます。
XORの一方の入力にキャリアを別の入力に0,1のデータを加えます。
データが0の時にはキャリアの0,1はそのまま出力されますが、データを1にすると入力は反転して出力されます。
変調精度はどうでしょう。
デバイスとしてはTC74ACT86F CMOSロジックIC Quad Exclusive-OR Gateを使います。スイッチングスピードが速く7MHzでは余裕の動作です。
オシロで波形を見ると反転、非反転の立ち上がり、立下りのずれは3nS程度に見えます。7MHzの周期140nSが360度に相当しますから3nSは8度程度の位相ずれに相当します。

変調信号=L 上がキャリア(XOR入力) 下が変調出力
イメージ 1
変調信号=H
イメージ 2
波形の立ち上がりと、立下りの時間差は1.6nS 4度ずれに相当します。
BPSKは位相ずれの許容度も大きく、10度程度のずれはほんのわずかの(0.1dBくらい?)の劣化しか起こりません。

オシロでは位相は正確に測れないのでVNAで測定してみました。ずれは0.2度というところでまったく問題無しです。
振幅偏差もほとんどありません。

変調信号=L

イメージ 3

変調信号=H
イメージ 4


XORの問題点というか特徴はLOGIC ICなのでリニアな変調はできないということです。取り出したベースバンド信号を整形後にXORに加えるとBPSK波が発生されちゃんと復調はできますが、波形の立ち上がりが急峻なためスペクトラムが広がります。CWのキークリックと同じで、そのまま電波として発射するのはまずいです。

・EER技術を使う。
PSK31の信号はベースバンドの0と1の切り替わりをゆっくりと行っています。
データが0->1あるいは1->0に変化するところでは振幅を下げ、立ち上がり、立下りを緩やかにします。これでスペクトラムが無駄に広がるのを防ぎます。
CWでキーを押したときに、パワー0.1秒くらいかけて徐々に上げていくそんなイメージです。
ここでは位相変調器としてXORを使い、残りの3つのゲートをパラにして終段FETのドライバーとして使っています。
まったくリニアリティはありません。
ここで送信波の振幅を変調信号の振幅に合わせて、変化(変調)する技術を使います。
EER(Envelope Elimination and Restoration E級増幅回路などの飽和型増幅回路の電源を包絡線追従電源より供給し、振幅変調を増幅できるようにした増幅回路。...Wikiより引用)
要は変調信号の振幅にあわせて出力FETの電圧を変えてAM変調しようというわけです。
原理は大昔のSSB送信機の高効率化、ハムではDJ4ZCがAO-7衛星の高効率化に採用したので有名です。(古い!)
しかし温故知新、携帯機器の高効率化の技術として見直されてるようです。
詳細は回路の説明に譲ります。

PSK31送信機を作ってみた 4

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・回路の動作説明

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RF部分
キャリアとして7MHzの方形波を加えます。
U2AはXOR TC74ACT86Fを使った位相(0-180度)変調器です。出力は3パラのXORで増幅されFET Q1を駆動します。
終段はスイッチング用N-CH FET IRLI520PBF(秋月で購入)で5V,3W入力で2Wの出力が得られます。放熱をしっかりやってドレイン電圧を12V程度にすれば10W出力も可能です(多分)。
FET出力はスイッチングされて、高調波成分をたっぷり含んでいるのでローパスフィルタで高調波を落とします。この部分はマッチング回路もかねています。

・ベースバンド処理部分
4個いりOP-AMP LMC6484(秋月で購入)を使いました。
レールツウレールの優れものです。
サウンド出力レベルは1Vpp程度必要です(大抵のPCで大丈夫でしょう)。

U1-A,U1-Dはなんちゃって検波器(半波整流)として使います。普通なら増幅回路ですが、単電源で動作させるため負電圧は出力できず検波動作をします。
その後にRCフィルタ(fc=300Hz)を入れ16kHzのキャリア成分を除去し変調信号を取り出します。

U1Cは検波して抽出した変調信号の包絡線を取り出し、Q2と合わせて増幅し終段のドレインを振幅変調します。
Q2はOP-AMPの出力増強用で、P-CHの電力用MOS FETを使用します。
この構成のためほぼ電源電圧いっぱいまでのスイングが可能です。
Q2での反転があるのでOP-AMPの+端子へ帰還していますが、全体としては負帰還増幅器です。

U1Bはコンパレータとして動作し抽出した変調信号を0,1のデジタル値に変えてXORを駆動(位相変調)します。



PSK31送信機を作ってみた 5

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実際の特性です。

サウンド出力とその検波波形
サウンド出力の包絡線
が取り出されています。

イメージ 6


サウンド出力、位相変調波形、ドレイン変調波形
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位相変調波形とRF出力波形
振幅変調されている様子がわかります。
Rf波形はサンプリング数不足で正確ではありませんが、感じは判ります。

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出力スペクトラム まずはEER無し(ドレイン電圧一定)
スペクトラムはワーッと広がっています。
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EER有りの場合
スペクトラムの広がりはぐっと小さくなり、EERの効果は絶大です。
+-500Hzで-60dB下がっているので問題ないかなと思います。
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IMD
スペアナの帯域幅10HzではIMDが測りきれないのでPSK31ソフトで見てみました。
IMD-37dBと出ました。イメージ 5

占有帯域幅 99%のエネルギーが60Hzに収まりました。イメージ 7

高調波スプリアス
2倍波で-20dB程度なので実運用には出力のフィルターをもう少し強化する必要があります。
キャリア(7MHz)の裾にあるのはDDSのスプリアス。
イメージ 8

終段部波形 5V,2W出力時
上から駆動信号(XOR出力)、ドレイン電圧、出力RF電圧
ゲート容量が440pFと大きくせいドレインのリンギングが大きいです。
高調波がたっぷりという感じ。

イメージ 9

消費電力、出力
 DDS           5V,140mA
 DRIVER(FINAL除く) 5V,  50mA
 FINAL 連続送信時  5V,700mA +33.28 dBm 2.1W
合計                        5V, 890mA(4.45W)

まずまずの感じです。
実運用では波形のくびれ部分があって電流は100-200mA減少します。
PCのUSB電源で動かせるかも。
出力段のEクラス動作などでまだ改善の余地はあります。



2017初日の出

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赤城山の中腹から見た初日の出と富士山。
イメージ 1

中央よりちょい右 山頂だけちょこっと
イメージ 2

SPの高速自動導入とベルトドライブ化

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ヤフオクで鏡筒を落札したらおまけにSP赤道儀が付いてきました。SPも初期の型らしくねじが錆びたりしてますが壊れているわけでもなくこれで遊んでみることに。
目的は移動先で軽量鏡筒を載せて自動導入し観望やお気軽撮影です。
1週間前から製作に着手し、完成しました。
全景
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赤経側
イメージ 2
赤緯側
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ピリオディックモーションは18秒角/10分間=+-9秒角/10分間
主な傾斜 9秒角/6分間=0.75秒角/30秒 もともとのギヤよりずいぶん良いみたいだ。30秒露出ならガイドは要らなそう。
イメージ 4

ここhttp://www.stellarjourney.com/に公開されているOnStepというシステムを使わせていただきました。
スマホからコントロールしウィーンと音を立てて軽快に導入します。600倍速?
続きます。

モーター、プーリーの選定と取り付け

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このモータがあったから始めたようなものです。
50歯プーリー付モーターがなんと700円! 購入先は秋月電子
プーリーだけをモノタロで買うより安いです。
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部品の調達はほとんどYAMAで。YAMA。。。
ヤフオク(赤道儀)、秋月(モータ、コネクタなど)、モノタロ(プーリー、タイミングベルト)、Amazon(モジュール類)。
プーリーはモーターシャフトが圧入されているので、押し出してはずしました。イメージ 2
写真は、はずしたプーリにカラーを付けたもの。今回はカラーは使わずSPのウォームシャフトを直接圧入します。

SPのウォームギヤをはずし、傷をつけないよう注意しながら旋盤で加えシャフト径を6mmからモータシャフトと同じ5mmまで削ります。
削りすぎるとゆるゆるになってしまい後の祭りなので慎重にモータシャフトの測定値と同じか気持ち太いところまで削ったら、ウォームギヤのシャフトの他方をフライスかボール盤のチャックで弱くくわえ、下にプーリーをおいてゆっくり圧入します。
赤経側はウォームシャフトの長い側を削りました。プーリーと本体がぶつかるのを防ぐためです。ウォームギヤは反転して取り付けます。

小さいほうのプーリは16歯です。イメージ 3
実はこれ、ポンセマウントに使ったモータからはずしたもの。径が違うのでカラーを作ってモーターシャフト径5mmに合わせています。
カラーの出来で偏芯量が違うので測ってできの良いのを選びました。

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できの良い2個はすでにEM200用に使ってしまっていて、今回残っているのは偏芯が10umのもの。ピリオディックモーション換算で4.6秒角 許容範囲かな。

プーリはモノタロで入手できます。
スーパートルクタイミングプーリ
S2M(棒状・アルミタイプ)16歯 
100mmの長さがあるので20mm程度に切断しシャフト穴を開けて使います。

タイミングベルトもモノタロで。使ったのは確か90歯(2年前購入で忘れてます)。モータとウォームの芯間隔は49mm程度です。短いベルトにすればあと10mm程度近づけても大丈夫です。

モータの赤道儀への取り付けは写真を参考にしてください。今回は図面無しでやっつけ仕事です。
5mm厚のLアングルアルミ板を加工して取り付けています。
最初は、SP用のモータケースの中にモータを収容しようと考えたのですがモータが大きくて入らないのでこの方法になりました。赤経側への取り付け方法はSP用のモータに倣っています。
赤緯側は本体のねじ穴を利用しています。タイミングベルトの緩み防止のため最初の写真のように補助のローラーを追加しています。
モータとウォームシャフト間隔を詰める効果もあります。
タイミングベルトの張り具合を調節するため赤緯側はモータ取り付け穴を長穴にして1mm程度は調整できる構造にしています。
赤径側は本来のモータ位置調整機構をそのまま使いました。

トルクは足りるのか?
純正のギヤと比べるとモータからウォームへの減速比(ギヤ比)は50/16=3.125とずいぶん小さいです。
負荷として4kg20cmBKP130搭載)を仮定し、カウンタウェイト無しの状態でウォーム駆動に必要なトルクをばねばかりで測ってみました。動き出すのに必要な力は1.5kg3cm=4.5kgcmでした。
秋月モータ5.6オーム0.9A でトルクは270mNmおよそ2.7kgcmです。
ギヤ比3.125を考慮すると8.4kgcmのトルクが発生します。必要トルクの1.8倍で十分です。カウンタウェイトでバランスをとればさらに低トルクで余裕です。
実動作では高速導入で赤緯軸がトルク不足で脱調しました。ウォームの締め付けがきつすぎたためで若干緩めることで問題なくなりました。

駆動ステップはどうでしょう。
モータを32マイクロステップ動作とすることでモータ1回転は200x32=6400ステップ。1ステップあたりの回転量は0.45秒角と十分小さいです。


OnStepで自動導入-ハード編

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OnStep http://www.stellarjourney.com/はArduinoをCPUとした自動導入のためのハード、ソフトです。スマホをコントローラとして操作、自動導入が行えます。
EM200用に1号機をArduinoで作ったのですが2号機はTeensy基板でやってみました。
イメージ 1

回路図はここhttps://blogs.yahoo.co.jp/ryu_02801/39992631.htmlを参考にさせていただきました。これにBluetoothを追加しています。
中央がTEENSY CPU 上の紫基板がモータードライバ2個、右上がBluetoothモジュールです。3端子REGは結構熱くなるのでヒートシンクを付けてます。

配線が面倒なのでプリント板をCNCで削って作りました。穴あけも同時に行います。
イメージ 3


実体配線図?(プリント板)です。最終版はもうすこしジャンパが減ってます。
イメージ 2
モータードライバも熱くなるので裏に気休め程度ですが放熱板を半田付けし「ました。
イメージ 7

その他注意する点として
・TEENSY基板のUSBからの5Vは競合を避けるため切断します。

イメージ 4
・モータをつなぐ前に電流設定をします。基準電圧(ボリウムの調整部分とGND間の電圧)を0.5Vにボリウムを回して合わせます。これでモータ電流は1Aになります。
・電源はPCアダプタ(19V)を使いました。電流は0.3A程度。電圧が高い(25V)のほうが高速駆動に向きます。12Vでも動作すると思います(未確認)

マイクロステップ動作の改善
モータの駆動電流を見ると正負の変化点で電流が急変しています。
モータの動きがごつごつした感じで滑らかさにかけます。

イメージ 5

実験した結果、ICのDecay端子を3.3Vにすることで改善することがわかりました。
電流の急変がなくなり回転が滑らかになります。最初の写真で黒いドライバICの上のジャンパがそれです。端子が小さく半田付けが難しいですが効果はあります。
イメージ 6


OnStepで自動導入-ソフト編

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ソフトを入れて動くようにします。
作業は、大きく分けて2つになります。
・制御基板にファームウェアを入れます。
・スマホ(タブレット)にコントローラOnStep controler2をインストール。

まずはファームウェアの導入
・Arduinoコンパイラをインストールします。
インストールしたのはArduino1.8.2
Windos用ならここhttps://www.arduino.cc/en/Main/Donate

・Teensyが動くようプラグインを追加します。
インストールしたのはTeensyduino1.36

・OnStepのファームフェアをDLします。
http://www.stellarjourney.com/index.php?r=site/software_telescope
OnStep firmwareのほうです。OnStep ASCOM driver ではありません。
ファームフェアはDL後に解凍、展開してOnstepと名づけたフォルダーを作って格納します。
コンパイルの前に、設定ファイルconfig.hを修正(赤字部分)します。

#define STATUS_LED_PINS_ON
#define MaxRate                   32
#define StepsPerDegreeAxis1  8000.0
#define StepsPerDegreeAxis2  8000.0
#define StepsPerWormRotationAxis1 20000L
#define REVERSE_AXIS2_ON

#define AXIS1_MODE 7
#define AXIS1_MODE_GOTO 7
#define AXIS2_MODE 7
#define AXIS2_MODE_GOTO 7

設定の細かい内容はAlternate_Config.txtに書かれているのでさらに手を加えたい場合はここを見てください。

修正が終わったら、Onstep.inoをダブルクリックするとArduinoコンパイラが開きます。
ツールでボード:"Teensy3.2/3.1”となっていることを確認します。
イメージ 1

OKならスケッチ-"コンパイルしたバイナリを出力"をクリック。コンパイルが始まりますがフリーズしたかと思うくらい(5分?)時間がかかるのでじっくり待ちます。
終わると、Teensyソフトが自動起動されるので
イメージ 2

ここで初めて制御基板に電源を入れ、USBでPCとつないでからTeensy基板のボタンを押すとファームウェアの書き込みが終了します。

・コントローラOnStep controler2をインストール
イメージ 3

Google PlayストアからOnStep controler2をインストールします。
こちらはワンクリックで簡単です。
中古のAndroidスマホは格安で買えるので専用コントローラにするのも良いかもしれません。

以下、操作概略

OnStep は、望遠鏡マウント用の diy コンピュータGOTOコントローラです。 このアプリは、あなたの android スマホやタブレットから bluetooth を介してほとんどの機能を制御します。 align、マウント、パーク/アンパーク、program PEC や、天体へのGOTOといった機能を有し、目標を導入できます。 月、惑星、メシエ天体、NGC/IC,、ハーシェル400、や有名な明るい星のカタログを含んでいます。

実行方法:
1. OnStep この最新バージョンはまた、LX200 プロトコルを持っており人気のある Android のプラネタリウムアプリのいくつかやPCソフトで動作します。

2. OnStep の bluetooth アダプタを電話またはタブレットにペアリングする必要があります。
設定例- bluetoothでHC5を選択 pw=1234

3. このアプリを開き、メニュー (メニューボタンを使用) を開き、ペアリングした bluetooth アダプタを選択し、最後に [Accept承諾] を押します。 これは一度だけ設定する必要があります。

4.設定メニューからあなたの場所を設定することができます (Menu/Site Selection.)。
日本での設定例 +36 -139 -09H
設定したら”Upload”で登録しておきます。

ここで鏡筒を赤経を水平、赤緯を北に向けて初期位置(Home)とします。
次に、"Initialize/Park"から”Set Date”、 ”Set Time” を押して日付と時刻を設定したら" Start Align " を押すとLEDが点滅して赤経駆動が始まります。
出てきたリストから簡単に識別できる明るい星を選択し、"GOTO" を実行すると望遠鏡が目標をおおよその位置に自動導入します。
ここで初期画面に戻りGude/CenterからN/S/E/W方向キー(または手動)で星が視野の中央になるよう調整します。
中央に導入できたら画面中央の“Align”を押すのですが、普通はロックされていて押せないのでメニューからlockのチェックを外します。“Align”が”Sync”に変われば同期が取れた事になります。

後は、初期画面のリストから目標を選択して、GOTOすれば自動導入されます。また終了してプラネタリウムのタイプのアプリからマウントを制御することもできます。

その他
PARKで追尾、UNPARKで追尾停止します。

天体名が英語でなじみが無いので、私はまずステラナビゲータで星の名前を確認。同じ名前をリストから見つけて導入しています。導入速度は480倍なのですぐ終わります。特に暗い天体の導入には威力を発揮します。
スマホで動くプラネタリウムソフトからの簡単導入もできるようですがこっちはこれからです。

自動導入SPの消費電流を測る

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消費電流とついでに12V動作も確認
電源電圧(V)101218.5
電源投入時0.10.10.1
追尾時0.930.790.53
高速導入時0.50.640.7

イメージ 1

12Vはもちろん10Vでも動きます。
追尾しているときの電流は電圧が上がると下がり、消費電力で見ると10W弱でほぼ一定です。
高速導入時(480倍速)、18Vでは電流が増えますが12V,10Vでは追尾時より電流が下がってます。
これはモーターコイルのインダクタンスに負けて、電流を押し込めないためでその分トルクが下がっているはずです。
18Vでは高速導入時のトルクは十分ですが、12Vで搭載重量が大きいと脱調するかもしれません。
それでも12Vだとバッテリでの直接駆動ができますから魅力的ではあります。
0.8A程度の電流なので小型のバッテリーでも一晩はいけるでしょう。

最近リチウムイオンのジャンプスターター電源が比較的安く売られています。
私も12V出力付で、12,000mAHと言うのを持っていますが、使えないでしょうか。
12,000mAHというのは12Vでの値でなくてリチウムバッテリ3.7Vでの値です。使える電力は44WHの記載があります。
10Wだと4.4時間ということになり2個無いと一晩は無理です。
モータの電流設定を現在の半分の0.5Aとすればぎりぎり一晩持ちそうです。
この場合トルクも半分になるし、高速導入時の速度も半分くらいにしないときついかも知れませんが200倍速くらいならのんびり撮影には十分ではないでしょうか。
時間があったら実験してみます。

試運転してきました

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近くの赤城山で試運転してきました。
これ以上簡素な撮影システムは無いのではと思います。
SP赤道儀と鏡筒(D=80mm,f=600mm 0.85Xレデューサ)
カメラはSONY α7S(35mmフルサイズ、無改造)
イメージ 1
SPの極軸合わせの方法がわかりません。(泣)
極望のほぼ中心に北極星を導入して終わり。1度くらいはずれてます。
めぼしい天体を自動導入してみます。極軸がずれているので画面中央とはいきませんが、画面の中には入ってます。
高度の高い対象を導入したらカメラと赤道儀がぶつかってあせりました。
慣れてきたところでM51を導入。10秒ほど露出してみると画面中央に写ってました。
そのまま露出続行。ISO10,000、30秒露出をひたすら繰り返します。
65枚中のできの良い90% (ソフトが自動選別)58枚計約30分の露出。
人工衛星の軌跡は自動的に除去されたみたいです。これにダーク16枚をスタックした結果です。
スタックソフトはDeepSkyStacker3.33(DSS) スタック処理にかかった時間は16分でした。PCを持っていけば次の対象を写している間に終えられます。
この後ステライメージで階調を調整しました。

DSSの処理を見ていると50枚目の画像のずれ量はX=44,Y=71だったので
83ピクセル/50枚で1画面あたり1.6ピクセルのずれでした。
オートガイド並?お手軽な割には好結果では無いでしょうか。

気になる点は
・30秒露出のあと2秒程度画像転送時間が必要です。
・ずれた分、画面の端は犠牲になります。100ピクセル/4000=5%くらい。
・30秒x60枚と30分1回露出は同じ品質? これが最大の疑問です。

イメージ 2

M101 露出30秒x62枚 周辺減光があるので中央部切り出し
中央下の暗黒部分は撮像素子前面のキズ
イメージ 3

結構点像だし良く見ると小さな星雲もいくつか写ってます。

極軸を合わせてみた

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Webで極軸の合わせ方をリサーチ。
時角を合わせて、北極星を所定のずれた位置に導入すると言うことのようだ。
極軸パターンが古いのだが40分角までは目盛りがあった。現在の北極星の位置ずれはこの程度のようなのでここにセット。

赤城山では極軸パターンを懐中電灯で照らしながらやったが大変だったので明視野照明を追加。

イメージ 1
極軸を合わせるときだけ、赤道儀の電源を差し込みます。LEDの電流が1mA程度になるよう20kの抵抗を入れたがまだ明るすぎる。

極軸を合わせてM101付近を撮影したが、空の状況が悪く画にはならず。だが追尾のずれ量は測れた。
イメージ 2
30秒露出で、15分経った後の画像と2枚を明視野合成したもの。2点の距離が15分間での移動量になる。
今回はf=650mmのニュートンを使用。ずれ量は15分間で32秒角、12ピクセルというところ。30秒露出では1秒角、0.4ピクセルの移動なので満足できる結果だ。

鏡筒の取り付け位置が回転中心から離れてウェイトが不足したので、手元にあった小さなウェイトの穴を広げて追加した。

イメージ 3

足元の地面がやわらかくて不安定なので安定板を追加。

イメージ 4

これ、切断砥石。
星の画像を見ると風のせい?か揺れているのも有ったので入れてみました。








スタック効果を実験

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このプロジェクトの売りは簡素な赤道儀で、オートガイドも無しに、短時間(30秒)ずつ撮影して高品質の画像を得るというものです。
幸い赤道儀追尾、極軸ずれなどは30秒の露出に十分耐えることがわかりました。
残っているのは、短時間・多数枚スタックで長時間露出を超えられるかです。

結論: 5分(300秒)1枚露出より30秒10枚のほうが画質が上!!

実験設備です。
イメージ 1

左端に人工星を置き、右のカメラで写します。レンズはf=100mm、クローズアップレンズでピントが合うようにし、F22まで絞りました。
人工星はLEDを小さな穴から照射するものです。明るすぎるので電流を思い切り絞りました。(2.4uA)
カメラはSONY α7Sです。
これでも外部から光が漏れこむので、実際には黒い布をかけました。

撮影はISO1,000で5分、ダークも5分、
他方はISOを10倍の10,000で30秒を10枚、ダークも30秒を10枚撮ります。
それぞれステライメージでコンポジット、ダーク補正した比較画像です。

イメージ 2

左が5分1回露出、右が30秒x10回=300秒 見た目同じ明るさです。
ピクセル情報(明るさ)は11,000程度 飽和レベルは16,383(14bit?)なので飽和していません。30秒x10回も同レベルです。
(スケールを合わせるため30秒x10回の画像はピクセル値を1/10に除算しました)

同じ明るさに写ることはわかりましたが、ノイズはこの画ではわかりません。レンジを狭めてノイズを見てみます。

イメージ 3

人口星5個のうち上の2つを拡大し、ノイズが見えるまでレンジを広げた(レンジ=1,000)ものです。上が30秒x10回 下が5分1回
30秒x10回のほうがざらつきが減って滑らかにになっています。
ノイズのヒストグラムを見ても広がりが減ってきれいな正規分布ぽくなっているのが分かります。
多数回の平均効果が雑音を減らしたということでしょうか。
ISOを上げたことは露出時間の減少と相殺しているのでダイナミックレンジは変わりません。逆に露出時間を減らしたぶんISOを上げることが必要とも言えます。
カメラによっても改善の具合は変わるかもしれませんが、現状のシステムでは好ましい結果となりました。大成功!!

イメージセンサの基礎に関してここ
http://www.ic.is.tohoku.ac.jp/~swk/lecture/ic2005/kagami_ic20050419.pdf
を参考にさせていただきました。

これによると
センサ出力電圧∝光エネルギー(明るさ)とのことなのですが
電気になじんだ私の頭は
電圧∝√(エネルギー) なので若干混乱してます。

また資料P24に書かれていますが
信号のSN比は√露出時間に比例する。なので2倍の品質にするには4倍の時間が必要です。

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