SPのまとめも終わって、いよいよ鮎のシーズンだと思ったのですが、ISO10,000 30秒露出は最適なんだろかと気になりました。
今までは光の量(=ピクセル値)が同じになるようにして、どちらがノイズが低いか検討しました。
ISO値を下げると雑音も下がるわけで、これを多数枚スタックしたらどうなるのか?
まずは星とノイズのピクセル値がISOでどう変わるか調べます。
処理や計測はステライメージ8を使いました。
上から
ISO10,000x30秒露出10枚-ダーク10枚
ISO3,200x30秒露出10枚-ダーク10枚
ISO1,000x30秒露出10枚-ダーク10枚
ISOが下がるに従って暗くなります。ノイズはどうでしょう。
グラフ化しました。黄色の線が明るい人工星、クロの線はノイズです。
ピクセルの計測に当たっては、ノイズ分布の下側一部を切り取ってゼロ(原点)にしています。
まず明るい星ではISOが10倍になるとピクセル値は3.2倍になってます。
ピクセル値(電圧)∝√(ISO)に近いです。
光度の差がピクセル値の2乗の10倍あるとみなし、星の等級で2.5等の差と考えることにします。(100倍は5等級)
ノイズはISO3,200までは横ばいであとは黄色の線と平行に増えていきます。
ISO1,000では星のピクセル値は下がるのにノイズが下がらずSN比が悪くなってしまいます。
これは前回の結論と同じ。しかし悪いことばかりではありません。
ISOをあげると飽和しやすくなるので最大レベルと雑音の比-ダイナミックレンジが減少するからです。
この様子を見て見ます。
クロの線がS/Nで星とノイズの比を表します。ISO3200の場合が最良で9.5等級あります。一番短時間の露出で暗い星を写せます。
一方ダイナミックレンジが広いのはISO1,000でISO3200でもほぼ同じです。ISO10,000では0.8等級ほど下がります。
相反則不規 難しい言葉ですが、フィルムである程度以上の光が無いと露光しない-低輝度の対象に対して感度が落ちる。ということだと思います。グラフのムラサキの線は暗い星(人工星)に対するものですが明るい星に比べて低ISOではピクセル値の落ち方が大きいです。一種の相反則不規かもしれません。
ISOが異なっていても後で画像処理の段階で同じ明るさに修正することができます。
この実験では同じ明るさに修正した場合、
-ISO1,000が一番雑音が多い(ざらつく)、最適はISO3,200
-ISOが低いほど暗い星が明るくならない
-ISOが低いほうがダイナミックレンジは低い
このデータから見ればα7SではISO3,200が良さそうです。
それと思ったよりダイナミックレンジ狭いんですね。たとえば-15等の星が写るシステムでは-4等以上の星では飽和するので中心の色は失われるでしょう。周りの拡散光で色をキープしてるんでしょうか?